倉庫業における実際の事故例と対策方法 (入庫時)

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事故は作業員の生命を脅かし、多額の損害を生みます。

今回は実際に合った入庫時における事故を例に挙げ、その対策方法について解説します。

倉庫業における事故件数

中央労働災害防止協会の統計によると、倉庫業では以下のような事故が発生しています。

参考:令和2年度の倉庫業における事故件数

事故の型別 件数
墜落・転落 94
転倒 143
飛来・落下 40
激突され 61
動作の反動・無理な動作 151

特筆すべきは動作の反動、無理な動作の151件です。貨物が重量物である場合、腰を痛めたりするケースが頻発しています。所謂『ぎっくり腰』は前兆が把握しにくい為、防ぐのが非常に難しいと言えます。他業種と比較して倉庫業の場合はぎっくり腰が労災認定される可能性が高いです。

(20㎏以上の物品または重量が異なる物品を中腰姿勢で、繰り返し取り扱う業務)は、労災認定の対象となります。

(参考)ぎっくり腰が労災認定されるケース

こういったケースとは対照的に意識しておけば確実に事故回避できるものもあります。フォークリフトの事故、転落、滑落など、これらは事前に危険の周知を徹底して防ぐべきものです。

倉庫業における実際の事故例とその対策方法

ここからは実際に起きた事故とその対策方法についてまとめます。

重量物(20キロ以上)を連続して持ち上げた為、ぎっくり腰となり歩行不可能

発生状況:入社してまもない作業員が20キロ以上の重量物を連続して持ち上げ続けた為、ぎっくり腰となり歩行不可能状態に。荷扱いに慣れていない作業員が、他の作業員のペースに合わせようとした為に、身体に負荷が掛かり腰を痛めました。

対策:荷扱いに慣れていない作業員は違う作業員と同じペースで作業をさせない。適宜ヒアリングし、身体に不調がないかどうか確認する。ぎっくり腰だけでなく、アキレス腱断裂などのケースもあります。

コンテナ入庫時、バースとコンテナの隙間に足を入れ怪我

発生状況:海上コンテナの荷下ろし作業時、作業員がコンテナとバースの間に足を入れてしまい、怪我をしてしまう。コンテナとバースを限界まで接近させなかった為、不要なスペースができ作業員が足を入れてしまった。

対策:コンテナをバースに誘導する際は不要なスペースを作らないように適切な距離まで寄せる。コンテナ誘導になれていない場合、スペースを空けてコンテナトラックを停止させてしまう場合があります。これは作業員の怪我に繋がります。

コンテナ入庫時、作業途中にトラックを移動し、中の貨物が倒壊、作業員に当たる事故

発生状況:コンテナ荷下ろし時、作業中にトラックを移動させようとして貨物が倒壊。作業員に当たり怪我をしてしまう。

対策:コンテナを移動する際は、必ず作業員はコンテナ外に退避する。その際荷崩れが発生しない状況かどうかも確認してからコンテナを移動する。

コンテナ入庫時、荷下ろし中に荷崩れが発生し、作業員に当たる事故

発生状況:箱型貨物の荷下ろし中、大規模な荷崩れが発生・落下し、作業員に当たる

対策:

■荷下ろし作業員だけでなく、フォークリフト作業員、その他作業員全員が荷崩れの可能性を考慮し、常に注視しておく
■コンテナを開けたとき、前傾している場合があるので、扉は必ずゆっくり開ける
■前傾していたコンテナは、一度前傾状態が解消されても、必ず再び前傾状態の列がある事を意識する
■重量物貨物の場合、非常に危険なので常に退避できる体勢とスペースを確保しておく

フォークリフト後退時に作業員の脚部を踏む事故

発生状況:作業員が両ひざを床についた状態で貨物の確認をしていた所、フォークリフトが後退し、かかと付近を踏む。フォークリフトが稼働している場所で危険な体勢で作業をしていた事、フォークリフト作業員が安全確認を怠り後退した事が重なり事故が発生しました。

対策:

■フォークリフトが稼働している場所では、立位姿勢を保ち、フォークリフト作業員から見えにくくなるような体勢を取らない
■フォークリフト作業員→安全の徹底的な確認(死角に注意する)

フォークリフト、パレット積み付け時、貨物の傾きを確認せず倒壊

発生状況:貨物が積載されているパレットを2段に積みつけている最中、1段目の貨物が歪んでいるのを確認せずに載せ、ツメを抜いた瞬間に倒壊。積載されている貨物の状況を確認しなかった事で事故を招きました。

対策:

■パレットを2段以上にして積みつける際は、下段のパレットの貨物状態(傾きなど)をよく確認する

その他のフォークリフトの事故例

■パレットへのツメの挿し誤りで、パレットを押してしまい、作業員に当たり重大な事故に
■2段に積みつけられているパレットを引く際、パレットへのツメの挿し誤りで、パレットを押してしまい、倒壊

フォークリフト関連の事故は倉庫業の中でも非常に多いです。これらは作業時間に追われて安全確認を怠った事が原因の場合が多いです。あくまでも安全が第一である事を周知する事が重要です。

最後に

以上が実際に合った倉庫業(入庫時)における事故とその対策となります。常に危険を予測する事で事故回避に繋がります。安全な業務遂行をお願い致します。

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